
論説委員コラム「序破急」
あの頃、連日のようにテレビに映されていた建物は、壁が色あせ、土地には草が生えていた。上空では、伊丹空港に降りる旅客機が轟音(ごうおん)を立てて行く。
大阪府豊中市。学校法人「森友学園」が国から取得した土地だ。建物は、学園が作ろうとした小学校の校舎だ。
財務省が大幅に値引きしてこの土地を学園に払い下げていた問題が発覚してから9年あまり。状況は変わっていない。
この土地については、国と学園、建物を建てた建設会社の3者で処分を巡って民事調停が続いているが、国は2025年10月、土地と建物の購入者の募集を始めた。社会福祉法人が名乗りを上げたが実現せず、国は26年5月に一般競争入札に切り替えると公表したが、入札時期は未定のままだ。

大幅値引きの根拠となったのは、地中に埋まっているとされたごみだ。学園は撤去費用を主張し、国は受け入れた。
地中ごみはどの程度あったのか。国は売却を急がず、広く、深く掘り起こしてみてはどうだろうか。
この問題では、学園の小学校の名誉校長に安倍晋三首相(当時)の妻、昭恵氏が就いていたことが、大幅値引きの背景にあるのではと国会で追及された。官僚の「忖度(そんたく)」が流行語に。財務官僚による決裁文書改ざんまで明らかになった。
当時は「安倍一強」、高市政権下の政官は
一連の問題で、会計検査院の…






